海洋データを取得することをテーマに水中ドローンの活用シーンを如何に作るかを考えていた中で、横須賀市の海洋科学高校での授業をきっかけに「釣り×水中ドローン」という発想が生まれました。

生徒の一言から始まったアイデア

海洋データ取得のための新しい水中ドローンの活用方法を模索していた中、年に一回行っていた横須賀市の海洋科学高校での授業がありました。

授業の中で生徒たちに「水中ドローンで何をやってみたい?」と質問したところ、「釣りがしたい」という意見が出てきました。

この意見は一部ではなく、多くの生徒から支持されました。水中ドローンという最先端技術と釣りという身近な遊びの組み合わせは、直感的に強い魅力を持っていたのです。

本当に釣れるのか?

とはいえ、水中ドローンで釣りが成立するのかは未知数でした。

そこで調査を進めたところ、海外で濁った池の中で水中ドローンに釣り竿を取り付けて魚を釣っている事例が見つかりました。

濁った環境では魚がドローンを認識しにくい可能性や、視覚に依存しない魚であれば食いつく可能性があると考えられました。

「これは実証する価値がある」と判断し、すぐにプロトタイプの開発に着手しました。

実証実験と予想外の熱狂

水中ドローンに釣り竿を取り付けた試作機を制作し、再び海洋科学高校の海洋実習授業で生徒とともに実証実験を行いました。

普段はどこか眠そうな雰囲気だった生徒たちの様子は一変し、2時間の授業は終始熱気に包まれました。

そして授業中、生徒の操作によって実際に魚が釣れました。トラギスという小型の魚ではありましたが、「水中ドローンで海釣りが成立する」ことが証明された瞬間でした。

見えてきた条件

その後、さまざまな環境や魚種で検証を重ねる中で、重要な事実が見えてきました。

魚種によってドローンへの反応は大きく異なり、ドローンの発する音や見た目が影響している可能性があります。視覚や警戒心の強い魚は逃げやすい一方で、ドローンを気にしない魚は問題なく食いつくことが分かりました。

つまり、水中ドローン釣りは成立しないのではなく、「条件によって成立する釣り」であるということです。

遊びが技術を広げる

水中ドローンと釣りという遊びを掛け合わせたことで、新しい価値が生まれました。

海洋科学高校の生徒の「水中ドローンで釣りがしたい」という一言がなければ、この発想は生まれていませんでした。