水中ドローンを活用するシーンを増やすことで海洋データを恒常的に取っていく仕組みを作るために、釣り×水中ドローンの開発を進めています。その最初のきっかけについて説明しています。

はじまりは横須賀市からの相談

もともと株式会社フルトンは慶應義塾大学SFC研究所のドローン社会共創コンソーシアムに所属するメンバーで立ち上げました。このコンソーシアムはドローンを如何に社会実装するかについて研究するところでした。

その活動の中で、横須賀市から「ドローンを使って海洋環境調査ができないか」という相談を受けたことで、取り組みの幅を広げる為に株式会社を作ろうということで設立したのが株式会社フルトンです。

日本全国で深刻化する磯焼け問題

調査対象となったのは「磯焼け」です。これは海底の藻場が消失し、魚介類の生息環境が大きく損なわれてしまう現象です。

磯焼けの原因は一つではなく、海水温の変化、食害、潮流の変化など複数の要因が絡み合っています。そのため、原因を特定するためには継続的かつ広範囲な海洋調査が必要とされていました。

ドローンについての取り組みは行っていたものの、海洋調査についてはどのように取り組めばよいか全く不明でした。

海洋調査には莫大な資金と時間が必要

私たちは国内外の専門家にもヒアリングを行い、海洋調査について調べました。しかし実際に行われている調査は、船舶・人員・設備を伴う大規模なものであり、コスト面でも継続性の面でも非常にハードルが高いことが分かりました。

ドローンを活用したとしても、単純に置き換えるだけでは同じように大掛かりなプロジェクトになってしまい、現実的に予算化することは困難でした。

ドローン調査の実証

そこでまずは、ドローン技術を活用して海中の調査ができるのか?と、水中ドローン・水上ドローンを組み合わせ、漁協の方々の協力も得て、海中の藻の繁殖状況を部分的に観測する実証実験を開始しました。

この取り組みに対しては、三井住友信託銀行より企業版ふるさと納税によるご支援をいただき、プロジェクトを推進することができました。

約半年間の調査を通じて一定の成果は得られたものの、横須賀市近海のすべてをカバーすることはドローン技術を使ったとしてもやはり、現実的ではないという課題が明確になりました。

「人が調査のために取り組むモデル」には限界があり、海洋調査に必要だったのは「新しい調査方法」ではなく「仕組みの転換」だと考えました。

特別な調査をしなくても、日常の中で自然にデータが蓄積されていく仕組みです。

釣り×水中ドローンでデータを集められるのではないか?

水中ドローンには、水温計・深度計・カメラといったセンサーがすでに搭載されており、そのデータを蓄積していく機能もあります。水中ドローンを扱う機会を増やせれば海洋データを多く獲得できます。

そこで私たちは、「釣り」という日常的な行為と水中ドローンを組み合わせることに着目しました。

釣りはもともと魚の生息域を探る行為であり、海洋環境の調査と非常に相性が良い活動です。

この二つを組み合わせることで、「遊びながら環境データを取得する」という新しい仕組みを実現できるのではないかと考えました。

遊びがインフラになる未来へ

釣りをする人が増えれば増えるほど、海のデータが自然と蓄積されていく。

それは従来のような一部の人にだけ負担がかかる調査ではなく、多くの人が楽しく参加する新しい海洋観測の形です。

株式会社フルトンは、この「釣り用水中ドローン」を作ることに舵を切り、楽しさと社会課題解決を両立する新しい取り組みを進めていくという目標で現在に至っております。